編(アム)

30代半ばの留学してる話

推しビト - Kon Karapanagiotidisはん

先日、オーストラリア関連の、私が推すコンテンツをご紹介しました。

 

今日はオーストラリアのご存命の人物、Kon Karapanagiotidis(コン・カラパナヒオティディス)氏をご紹介します!

 

Konさんはオーストラリア・メルボルンでAsylum Seeker Resource Centre(ASRC、直訳すると「庇護希望者のための資源センター」)を立ち上げ、CEOとして最前線に立っている経営者・実践者です。ソーシャルワーカーであり人権弁護士でもあります。

 

彼のことはInstagramで知りました。検索画面でランダムに表示された動画か写真を見てクリックしてみたのが彼の投稿だったのだと思います。

 

よく見てみるとメルボルンの方で、「ギリシャからの移民だった両親は貧しいながらも自分を人権弁護士に育て上げてくれた」というような内容を話していたように思います。

当時、ソーシャルワーカーになるために留学するという決意を固めつつあった段階なので、人権弁護士という仕事をされている彼の投稿は参考になると思いフォローすることになりました。

 

Asylum Seekersというのは難民となることを望んでいる人々のことで、難民認定されるとRefugeesになります。認定された人だけがRefugeeと呼ばれますが、実際は認定されていなくても保護されるべき人々が多くいるため、そういう状況にある人々も支援するためのサポートをしているのがKonさんが立ち上げたASRCです。

 

彼の語り口はとても柔らかく心地がいいです。英語学習をされたい方は是非!語っている内容は難民や庇護希望者が直面している困難、人種差別や女性への暴力、アボリジナルな方々への待遇に対する批判、弱い立場の人々に寄り添わない政府・政策への批判、ASRCへの寄付の呼びかけや活動紹介、そして美味しそうなギリシャ料理の紹介、などなど。

 

熱い彼の語りを日々Instagramで聞いているうちに、「この人の背景を知りたいぞ・・・」と好奇心を掻き立てられ、まずYouTubeを検索。

人生に影響を受けた本として、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア氏の著書を紹介している動画を見つけました。

 

ここでKon氏が言っている「僕はティーンの時から毛むくじゃらで、当時の僕が街中を歩いているのをナショジオが見つけたら『ついにイエティを見つけたぞ!』と大興奮したことだろう」というギャグに私はハートを射抜かれました・・・。

 

何だこの人、頭がよくて人を支援する優しさを持ちながら自分の毛深さをネタにするとは、かなりのやり手だ!!

 

と、推しを見つけた瞬間でした。

 

そしてもっと興味が出たので、彼の著書『The Power of Hope』を購入し、読み進めました。

 

もう、これが!推し推し!!

Kon氏は移民の子として、周りのアングロサクソン系のオーストラリア人とは異なる存在であることを常に意識しながら学校で馴染めず、親、さらには親の先祖のトラウマにも影響を受け、愛されることが叶わないことを呪い、鏡を見て「コン、お前は本当に無価値のくそ野郎だ」、「誰にも愛されない醜い生き物め、と絶望する」と自分に語り掛けるという辛い辛い日々を送っていたと綴ります。

 

え!私も一緒!!!(←自分の話やたらする奴)

 

何度か書いていますが私の特徴は思考が非常に暗いことで、私も鏡を見て「こんなブス、誰も愛してくれない~!」と泣いたことがあります(最近はブスである自分を受け入れてますし、フィリピンのお陰でまぁブスでもないかもしれない?と思えるようになっています)。

 

Kon氏は毛深くシャイで女の子に振り向いてもらえないというのをすごく本の中で詳細に強調していて、「こんなに素晴らしい活動をしている人でも恋愛が上手くいかないと悩むもんなんやな~」と同じく非モテな(一方で素晴らしい活動をしていない)私の心を溶かします。

 

そんなKon氏は、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア氏の著書『Strength to Love』(まさに、愛する強さ)を読んで、世界を憎む代わりに愛を与えよう、と思考を変えていくのです。

(I)f the world doesn’t want to love me, then maybe I can still give love back to it. My thinking was that this would then mean love would meet me halfway.
(もし世界が僕のことを愛してくれないのなら、代わりに僕が世界のことを愛してみよう。そうすることで、愛も僕に歩み寄ってくれるんじゃないかな、と考えた)
(W)e can’t build a better world unless we’re also building ourselves up, loving ourselves, cutting ourselves some slack.
(自分たちのことをまず作り上げ、愛し、赦すということをしないと、世界をいい場所に作り上げることはできない)

Source: Kon Karapanagiotidis. (2018). The Power of Hope.

 

本当に、これに尽きますね。私はこの度の選挙結果を受けて市民社会に対して混乱するばかりで、荒れまくっていました(≒夫に当たりまくっていた)が。逆境に置かれる時にこそ、愛を与えるということですね。すごく難しいけど、キング牧師とKon氏がやっているなら、私もやりたい。

 

そしてKon氏にとって、難しい立場にある人たちとの関わりこそが自分の居場所になった、という経験は私にとっても同じです。私はずっと自分のことをいじめ続けてきましたが、国際協力という今の仕事に携わるようになって初めて自分を赦すことができました。そして、これからも自分を赦すためには、ソーシャルワークが必要なのだと思っています。そしてソーシャルワーカーになれた暁には、ボランティアでも、彼と働くというのが私の現在の夢です。

 

余談ですが彼の苗字が長くて、これ言えないと私ファン失格やな、、、と思っていましたが、ついにソラで言えるようになりました。苗字に関してはKon氏本人も「スミスとかいう苗字が多い中で、長い名前を馬鹿にして『ミスター・アルファベット』と呼ぶ同級生もいた」と著書の中で書いていました。これを見て、他人の苗字を言えないなんて文化的な侮辱だな、と反省したのでした。

 

というわけで、日本の人にもKon氏のことを知ってもらいたいと思い、記事にしてみました。全ての情報は英語ですが、ASRCは政府の助成を受けずに寄付で成り立っているそうなので、是非ウェブサイトを見て、寄付もしてみて下さい!

 

(ちなみにメルボルンに住む知人が「Kon、いい仕事してるよね~」と連絡をくれました。大学で彼のスピーチを聞いたそうです。いいなぁ~)

 

最後に、難民や庇護希望者の支援について。

 

オーストラリアはかつて移民を多く受け入れていたことがあり、日本に比べればマルチカルチャー社会だと言われていますが、移民にとってウハウハな受入態勢が整っているとは言いにくいです。最近は移民への嫌悪感を市民・政府ともに抱いているようなヘイト事件や政策が散見されます。

 

特に難民・庇護希望者については、「国にとって有益かどうか」という視点で移民政策を定める風潮の中、厳しい状況が続いており、ASRCもキャンペーンと政策への働きかけを展開しています。国に帰ったら命の危険があるような人々を収容して強制送還しようとしたり、アフガニスタンからの入国希望者の人数制限が厳しかったり。

 

それは日本でも同じ、というか日本は世界の中でも最悪な移民受入国だなと思うのです。「有益かどうか」基準で判断し、外国からわざわざ日本に来てもらっておきながら、入国すれば「犯罪者予備軍」として見なすような待遇。少しでも怪しいと思ったら必要がなくても長期収容です。

 

難民・庇護希望者に至ってはまず受け入れない。だから社会に彼らがまず入ってくるようになって初めて、ASRCのような支援が意味のあるものになるのだと思います。というわけで、難民支援協会(JAR)さん開催の難民アシスタント養成講座を先週土曜日と明日の2日間、受講しています。

 

日本ではどういう感じなのかをまず学んで、JARさんのキャンペーンになるべく参画して、難民の方々も、入国管理に関して何らかの課題を抱える人々も、安心して暮らせる社会の実現を目指したいものです。

 

この記事は下記のnoteからの転載です。

note.com