編(アム)

オーストラリアでソーシャルワーカーになった中年の話

1回目の実習始まりましてん

1学期が終わり、3週間ほどのセメスターブレイクを挟んで2学期が始まりました。

 

私の大学では

1年目1学期 4単位の理論系

1年目2学期 3単位の実践系(実習)、1単位の理論系

2年目1学期 4単位の理論系

2年目2学期 3単位の実践系(実習)、1単位の理論系

で2年間の大学院が構成されています(あくまでモデル。現地の学生はパートタイムも可能で、上のような詰込みでなくても卒業可。留学生は上記のフルタイムスケジュールにしないとビザが出ないよ~)

 

2学期になったので実習を500時間(1日8時間として、授業がある曜日以外の4日間×15週間ほど)こなす必要があります。人によっては週5でやってるのかも?

 

これがねー。私はもう楽しみで楽しみでしょうがなかったのですが、結構面倒がるクラスメイトもいて、1学期中にはネガティブなクラスメイトとのやり取りはa pain in the buttって感じでした。特に一番よく絡む留学生仲間はそれぞれ既に福祉関係の分野でバイトをしていて、そのバイトを実習扱いにしてもらうための手続の話をずーーっとしていて…授業中も。よそでやってくれーという場面でも。。

 

確かに実習期間はほぼフルタイムで無給(上述の子達は有給にしてもらう手続の話をしていたのですが)なので生活が苦しいのはよくわかります。私は日本の仕事をオンラインでさせてもらっているので、実習前後の時間にその仕事をして、何とか契約通りの勤務時間をこなしています。でも円安でね…生活が苦しい…そして忙しすぎて風邪引いたわ。

 

実習先を見つけるまで

私の大学ではまず実習課との面談にて興味のある分野や関連する経験などについて話しました。私は「この英語力で取ってくれるところならどこでもええ」と言って西洋人クラスメイトに「そうじゃなくて!あなたが何をしたいかでしょ!!」と叱られていたのですが、やっぱり異国にいる身としては多文化に興味があるかな~みたいな話はしました、というか言わされたというか。あとは複数の教員から「コミュニティセンターで実習をすると色んな社会課題に触れることができるからおすすめ」という話は聞いていたので、多分その辺になるかなという想像はしていました。そのうち1人の教員は「英語に自信がないのはわかるけど、毎年絶対、誰もあぶれることなく実習が決まってるから大丈夫!!」との力強いお言葉が。それがコミュニティセンターなのかな、と勝手に想像していたのです。

 

実習課の担当者はそれぞれソーシャルワーカーとしての経歴と得意分野を持っているので、実習先は担当者の受け持ちが決まっています。私の場合は経歴的にもコミュニティディベロップメントでしょう、という想定がされたようで(国際協力でコミュニティ開発をしてきたので)、近隣のコミュニティセンターにて難民・アサイラムシーカーの支援に関する業務を紹介されました。紹介されたら即座に自己紹介メール(実習先によっては規定フォーマットがあります)を送り、面接のアポを取ることになります。

 

し、しかし・・・このコミュニティセンター、結局実習をさせてもらえることにはなりませんでした。面接でなーんか、なーーーんか不穏な空気だったので、「なめくさって面接に臨んでしまったけど、経験不足が明るみに出たかなぁ」と反省したのですが、その後、実は配置替えで実習を受け入れるキャパがなくなったから断られた、ということが明らかになりました。

 

この面接に落ちたことで色々考えましたね。やっぱり面接の時点で不穏なところでは働きたくないし(そりゃ不穏ということはunwelcomeなので向こうから願い下げなんですけど)、経験不足を理由に実習を断るって何?経験ないから大学院に入ってるんですけど??とか笑、質疑応答の内容を反芻して「私ってソーシャルワーカーに向いてないんじゃ…」と思うなど。

 

そうして落ちた後に、2つの選択肢をもらったのですが、結局今行っている実習先を選び面接→色々ありながら初日を迎え、早くも3週間目、です。私としてはコミュニティディベロップメントよりも、緊急性の高い課題に直面している人と働く、対人援助ができるようになりたいというのがソーシャルワークを目指すモチベーションの一つだったので。

 

実習先について

日本で言うと放課後等デイサービスです(あれ、緊急性の高い課題に直面してる人は?)。日本だと「障がいがある」児童・青年が行くことになっているのでしょうか?よく知らないので詳しい方是非教えて下さい。

 

私の実習先は、ホームページもFacebookも全然情報がなくてもう何やってんの!状態で、大学の実習課に情報くれよと問合せても「すごく評判がいいサービスを提供しているらしいわよ。あなたのそのラヴリーな好奇心を面接で発揮しちゃいな★」みたいな意味不明な返事が来たくらいなのですが、ネットストーキング(特技)をしたところ、制度のはざまから取りこぼされた児童・若者に安全な場所を提供すること、って感じかな、という印象を受けました。具体的には放課後等デイサービスだったのですが。そして制度使ってサービス提供しているので「はざま」はどうなってるん?という感じなのですが。

 

安全な場所っていうのは結構私の人生の課題・興味であって、やっぱり人間、居場所が多いほどセキュリティの高い人生を送れるので、家・学校以外に安心できる場所を提供するこの実習先は大切なことを学べそうだなと思って面接に臨みました。

 

あとは何がいいって、皆ポジティブ。面接の時点で「面接」という言葉を使わず「おいでよ喋ろうよ(come over and have a chat)」みたいな返事をくれて、面接だーフンガフンガと臨んで行ったら厳しい質問は特になく、「じゃあいつから来れる?」と。まぁその後色々大変だったのですがここで言う話でもなく。やっぱり前向きな人と働きたいよねー、と再確認しましたわ。

 

しかしキッズのことをキッズの前で結構話すんですよね。私は実習関連の情報収集したメモは日本語で取るようにしているのですが(私がキッズだったら自分の話を目の前でされるのもメモされるのも嫌)。あと、「おとなの事情でストレスフルな時も子どもにそれが伝わってはいけないのよ」と言われた2日後にめっちゃストレスフルな状況でキッズに当たってる他のスタッフを目撃し複雑な気持ちに。人間だものね。

 

英語

一部、早口で何を言っているかほとんどわからない人がいるのですが、まぁそのうち慣れるでしょう。慣れるにはこの何言ってるかわからん時期を乗り越えなければならないので!この人と「レタスの芯に爪楊枝を刺すと長持ちするらしい」という話が大変でした…芯ってコアでいいの?爪楊枝って英語で何やった?トゥースブラシ?(ピックでした)みたいな!あとはキッズに対してゆっくり話し慣れている人で、キッズ向けと同様に話しかけてくれる人もいます。めっちゃ目を見て話されるのでドギマギする、時々その人のアゴ見てます、歯並びがいい。あとは高校生が職場体験でやってきており、まぁ高校生だからキッズの前でスマホいじったり自分の話聞いてよ聞いてよ!だったりで「私にあなたを預かる義務ありますか?」と聞きたくなる感じなのですが、その子はマジで何言ってるかわからないからいつもニコニコとYeahと返事してます(あかん)。

 

あとはリサーチ時間に、実習先に来ているキッズの症候群を調べたりしています。もうそうすると知らない単語が続出!レタスの芯に爪楊枝を刺すレベル以上に聞きなれない単語で、これを理解していないといざ何かあった時に(何もないと思うけどっ)対応できないと思うと、今のうちに身につけておかないと!と思います。

 

しかしキッズは皆この意味不明な英語にも辛抱強く付き合ってくれ、何なら勉強に付き合ってくれます。レタスの芯系のdoodle(落書き)、scrunchie(シュシュ)、plait(三つ編み)とか、そんなんIELTSに出て来てませんけど、という日常単語を身につけています。

 

キッズの様子

守秘義務に関わるのでどういう子が、と言えないと思うのですが、皆超~~~ラブリーブリブリ!今のところ蜜月期で、いじめられることはありません。発言とか目線とか、その背景にあることを捉えようとはするけど、何も想定せずに接するようにしています。つまり家族構成とか、このシンドロームだからこういう動きをするのね、とかは置いといて、目の前にいるその子がこうするんだから、ただそれを受け止めるように。

 

しかし彼らに関するスタッフのささやきコメントとか、ウェブリソースとかを見聞きしていると、「それって私じゃね?」と思うことがたくさん。「このシンドロームの人は目より耳が下にあり」とか書いてるのを見ると「私やん!」、いやこのリソースってアジア人のこと考慮してる?(アジア人で目より耳が下にあるのは結構あるのでは?と調べようとしても差別的な情報が多くてくたびれた)、「この子は学校で辛いことがあると複雑な指示が頭で処理されないから、『ここの椅子をあっちに持って行って』とかいう簡単な指示を出すことでその日の心の状況を判断できるのよ」って「私やん!!」(特に英語だと複数の段階がある指示の一部をすぐ忘れる)と、ここでもまさかのワタシワタシシンドロームで恐縮です。

 

きっと私も何らかの「障がい」の傾向はあって、それが「障がい」になる手前のところで収まってきた特性なのだろうな、と個人的に思うのです。

 

これって他人を通じて自分をよく知るプロセスだし、特に英語で困難を抱える私にとって、社会性に困難を抱えるキッズってすごく共感しやすいなと思いました。わかってもらえない辛さ、わかれない不安なんて、実習先の職員は誰も知らないから。私ってポンコツだと思ってたけど、キッズはポンコツじゃない。ということは私ももしかしたらポンコツじゃないのかもしれない。strengths-basedなレンズを通して彼らを見ると、私も救われる。それが私のストレングスなのでは。これってソーシャルワークやる意味そのものやん。みたいな!

 

ってキッズのことを語ろうとしてもどうしても自分語りになってしまう相変わらずの私ですが、実習楽しくて仕方がないので、早く風邪を治して復活したいザマス。